全日本応援協会

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\応援エピソード部門_受賞作品紹介④/

2022.12.08

代理でエピソードを読まれた渡辺りおさん

心に響く音が応援を生み出したで賞

エントリーNO.3 「魂を元気にする音」小林太郎さん

  

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「ありがとうございました」


スーツ姿のその人は突然やってきて、菓子折りを持ってきてこう言いました。
私たちは毎年、上野の夏祭りで和太鼓の演奏をしています。
30度を超える屋外、もちろん炎天下で熱中症寸前の状態。
ふらふらになりながらも、お祭りが好きで演奏活動しています。


演奏場所はある程度な広さがあるものの、池に囲まれている中地にある神社の前。
足元も砂利が多く、和太鼓の演奏にはあまり向かない場所かもしれません。
お祭り以外の時はあまり人が通らないような場所です。
そんな過酷な状況の中「暑いなー」「つらいなー」と言いながらも、喜んで演奏しておりました。

  
10年ほど前の事になります。
私たちの演奏後に、スーツを着た男性が菓子折りをもってきて
「ありがとうございました」と言ってくれました。


私達は、あまりの事に理解することが出来ず、
もしかしたら暑い中演奏しているのを見かねて、差し入れをして下さったのかなと思いました。
普通にありがとうございましたと応じましたが
その後、信じられないような言葉を聞きました。


男性
「私は昨年の夏祭りで、あなたたちの演奏をここで聞きました」


私達
「ここに来て下さったのですね」


男性
「いえ。実は仕事を無くし、やる気も無くなって、そこの池のほとりで生活していました。」


演奏している私たちからは見えないような場所でその男性は寝泊りしていたとのこと。
つづいて


「もう生きる気力もないと思っていたところ、ここであなたたちが元気に演奏する和太鼓の音を聞い
て、もう一度就職して頑張ろうと思ったんです!魂がとても元気になりました!」

「だから、ありがとうございます」

  
といって深々とお辞儀をして去っていきました。
信じられないような話でした。

楯と賞状を受け取った小林太郎さん

私たちが与えられた場所で、普段通りに演奏していただけでした。
特に特別な感情もなく、暑さに耐え、痛みに耐え、自分たちの楽しみのために演奏していました。

  
知らない間に、そんな影響があったことに皆びっくりして涙しました。
自分たちのやってきたことが、他人にとって意味が生まれた瞬間でした。
そして私たちにとっても演奏が意味あることだったと、初めて思いました。

  
マラソンの行われている沿道や、スポーツの試合での演奏など、応援目的の演奏は経験ありまし
た。
しかしお祭りの一環で演奏していた事が、知らないうちに他人の魂に火をつけるような応援をしていたのでした。


その男性は再就職に成功し、普通に生活しているそうです。
その後は会うことはありませんでしたが、お祭りの音がその人にとって大きな意味があり
大きな応援になったことは間違いないと思っております。

  
それからは、暑い、疲れた、痛いを通り越して
応援の意味も込めた演奏をするように変化しました。

  
ひとりでも勇気づけることが出来るなら
この音で誰かが救われるのなら
これからもここでの活動を続けようと思います。
私たちはその男性に、深くて強い応援をいただきました。


こちらこそ「ありがとうございました」

  

✨メッセージ✨

自分に意味があるのか無いのか悩んだ時
他人が自分に対して意味を感じてくれることがたくさんあります。
結果、応援する側も応援されていることに気が付きます。